Author Archive



AI時代に求められる能力とは何か?

2024年 4月 14日

昨今、Chat GPTに代表されるように生成系AIと呼ばれる技術が急速に発達してきました。この流れは今後も続いていくでしょう。

この生成系AIは、深層学習や大規模言語モデルと呼ばれる技術を利用して作られています。世の中に存在するありとあらゆる情報をコンピュータにインプットして、コンピュータの中に知識モデルを作り上げています。

そのモデルに対して、人間が問い合わせをすると、モデルの中から導き出した回答をするというものです。問い合わせの内容に対して最善の答えを回答してくれるのが生成系AIです。

言ってみれば、問い合わせてすぐに優等生の回答をしてくれます。ですので、仕事の生産性が飛躍的に上がるなどと言われているのです。

それでは、人工的な優等生(AI)が存在する時代、生身の人間に求められる能力とは何でしょうか。

私は3つあると考えています。

1つは、『人工的な優等生をうまく使う力』、もう1つは『個性』最後は『行動力』です。

『人工的な優等生をうまく力』とは、課題や疑問をどんどん見つけ出せる能力とも言い換えられるかもしれません。優等生を使うにしても、何をお願いするのか、何に答えてもらうのかがわからなければ、優等生を使うことはできないのです。

Chat GPTと問答をする様子は、まるで哲学の問答をしているかのようです。弁論を繰り返すことでモノゴトの真理、本質に近づいていく。論理的思考力を裏付けにして、優等生と質の高い議論をする。

こういった力が必要だと思います。要するに、優等生の言いなりになるだけではなくて、自分で考えてきちんとした自分の責任でもって結論を出すという力です。

すでにAIが全盛を迎えている将棋界の第一人者である羽生善治九段は次のように述べています。

「何事であれ最終的には自分で考える覚悟がないと情報の山に埋もれるだけである 」

優等生が本当に正しいことを言っているのか?どういう前提の下で正しいのか?受け取る人間が理由をわからない限りは、その情報の山の中に埋もれてしまうだろうということだと思います。

次に『個性』です。

私たち人間は、生まれた時期や育った環境が皆異なります。ですので、同じ事柄に対して違う結論を出します。

赤ちゃんが泣いている。あなたならどうしますか?

・ある人は、かわいそうだから、抱っこして泣き止まさせてあげよう。

・別の人は、ダメなものはダメなんだから、駄々をこねても聞かないと放っておく。

持っている考え方やその状況の見方が違うだけで、対応が真逆になります。

とても値上がりしている株があります。あなたならどうしますか?

・ある人はこの株はまだまだ上がるからもっと買おう。

・別の人はこの株はもともとの価値よりもだいぶ高くなっていて、そのうち下がるから高値のうちに売ろう。

二人の考え方が真逆なのでこの株の売買は成立します。

この考え方の違いが『個性』です。個性を生み出すのは、その人が現在に至るまでに体験したことを踏まえて創り出されたその人の脳内にある知識モデルがもとになっています。人工的な優等生が知識モデルを持っているように、当然私たちも知識モデルを持っています。

AI時代では、この知識モデルを育てることが、今まで以上に重要になっています。

人工的な優等生がもっともな答えを生み出したとき、私たちにはそれを評価できうる知識モデルがなければ、優等生が言っていることを理解できないいうことです。

現在、人工的な優等生が学習できる内容は、文字情報、画像情報、音声情報といった断片的な情報です。人間は五感を通じて統合的に様々な学習をすることができます。

いってみれば、それが体験学習です。

人工的な優等生は、体験学習はできないが、人間は体験学習をできる。

これから、人間がコンピュータと対峙、共存する上で大切なのは、体験に裏付けられた個性であるという風に考えています。

最後に『行動力』です。

人工的な優等生の出現により、問題解決が飛躍的に容易になってきました。ただ、物事は最終的に行動が伴わなければ、机上の空論で終わってしまいます。失敗を恐れずに、どんどん行動する力これがなくてはならないと思います。

実は、人工的な優等生だってたくさん失敗してるんです。知識モデルを作るうえで必要な深層学習の過程で、人工知能はものすごい数の失敗をしています。失敗をたくさんすることで、正しいことを理解しているんです。

ネイチャリングルームでは、豊富な体験をすることができます。その過程で得られた小さな成功体験の積み重ねが、行動力、チャレンジ精神をアップさせます。

学校が終わった後の放課後で、AI時代に求められる能力が身に付いたら素晴らしいと思いませんか。

説明会・体験授業の参加お待ちしております。


大学入試で増え続ける総合選抜型入試(旧AO入試)とは?

2024年 4月 14日

近年、大学入試では総合選抜型入試(旧AO入試)と呼ばれる選抜方式での入学者が増え続けています。

文部科学省調査によれば、令和2年度で既にAO入試と推薦入試が全体の48.8%となり半数近くにまでなっています。

これは、平成25年の教育再生実行会議第四次提言(文部科学省)

『大学入学者選抜を、能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価・判定するものに転換するとともに、高等学校教育と大学教育の連携を強力に進める』

に基づき、各大学が入学者選抜改革に取り組んだ結果です。

それでは、総合選抜型入試(旧AO入試)とは何でしょうか。

総合選抜型入試は、単に画一的な筆記試験によって、入学者の合否を決めるという従来の一般入試とは異なり、各種提出書類(内申書、志望理由書、自己推薦書、資格証明書など)、面接、筆記テストなど各大学・学部で定める推薦要件に従って総合的に選抜する方式です。

例えば、

東京大学では、「多様な学生構成の実現と学部教育の更なる活性化を目指し、同学の総合的な教育課程に適応しうる学力を有しつつ、特定の分野や活動に関する卓越した能力や極めて強い関心や学ぶ意欲を持つ志願者を求める」としています。

また、一般選抜の中にも総合的な要素を取り入れる大学も出てきています。例えば、

早稲田大学では、一般選抜のWEB出願時に「主体性」「多様性」「協働性」に関する経験を記入させています。調査書(内申書)に記載するのではなく、受験生本人が自身の経験を振り返り文章化するというものです。なお、入試における合否判定の対象とはしないとされていますが、大学が求める人材像を明らかにしているものと思われます。

つまり、単に学力が高いというだけでは、物足りないので、新たな選抜方法も導入したということでしょう。大学に入学するのが最終目的ではなく、大学入学後も意欲的に研鑽を積み、卒業後に活躍できる人材を求めているということなのかもしれません。

「何かを実現したい!」「将来こうなりたい!」「何でこうなるんだろう!真理を知りたい!」など、単に学歴を獲得したいという動機以外の内発的動機が人が学び続ける、成長し続ける原動力になるのかもしれません。

そうした強い思いを持ち行動し続けてきた子に道を開くのが総合選抜型入試(旧AO入試)なのでしょう。

ネイチャリングルームは、子どもたちが強い思いを持てるきっかけ作りに励んでいます。

ネイチャリングルーム(Naturing Room)の名前には、「子どもたちがあるがままの姿で成長する部屋」という意味があります。

「好きこそものの上手なれ」ということで、興味関心を持ったことに関して、人生を通じて取り組むきっかけになればと思います。


【入会検討者必見】イベントダイジェスト

2019年 9月 5日

2017~2021年のイベントや活動の一部をご紹介します。

子どもたちにとっては、楽しい行事ですが、

実は人生にとって、とても大切なことを学ぶ学習の場のでもあるのです。

  • 「自然から学ぶ」
  • 「ちょっと怖くてもチャレンジしてみる」
  • 「自ら行動して結果を受け止める」

そんな原体験が満載なのが、ネイチャリングルームのイベントです。

自然から学ぶ(Learning from Nature)

ネイチャリングルームのコンセプトでもあります。

昨今の経済成長、人間生活の高度化に合わせて、環境破壊が進み、将来は人間の生活自体も脅かされる危機が迫ってきていると言われます。

そんな中、「子どもたちに自然を好きになってほしい」という願いがあり、このコンセプトを押しているということありますが、これだけではありません。

自然との共生がますます求められる世の中になっており、何かを抑制する、制限することで危機を回避するという風潮があります。

しかし、もっと自然保護、環境保全を前向きに捉え、自然から学び、活用していく。

カモノハシの口の形をした新幹線やマグロの泳ぎ方を真似た潮力発電機など、人間が自然から学び活用した事例は多くあります。

さらには、自然から学ぶことを通じて、物事の本質を見抜く力を養ってほしい。

自然体験活動を通じて、観察力、洞察力、創造力、考える力も養いたい。

そんな思いから、ネイチャリングルームでは、このコンセプトで様々な自然体験活動を行っています。

最近の脳科学の研究によれば、人は物事を理解したり、ヒラメキが生じるとき、大脳新皮質に蓄えられた過去の経験や知識を総合的に関連付けしていることが明らかになっています。

学力偏重の教育は、非定型の経験、知識が圧倒的に不足するのではないか。

学校テストの点はとても良く、難しい入試問題が解ける、そこに偏ってしまうと、

子どもたちの人生にこれから訪れるであろう非定型の課題や問題を克服していくための基本的能力が欠如してしまうのではないか。

いわゆる学力を上げるために、子ども時代にしかできない貴重な体験をする機会を奪っているしまっているのではないか。

なんで世界有数の科学技術大国で経済大国であった日本からは革新的なサービスや製品が生まれなくなってしまったのだろうか。

それは、もしかしたら、子どもたちの大学への進学率が上がることと私立中学の進学率が上がっていることと関連しているのではないか。

そんな疑念を抱いているからこそ、ネイチャリングルームでは、「自然から学ぶ」を大切にしているのです。

 

ちょっと怖くてもチャレンジしてみる

小さなチャレンジをして成功したとき、これが自信になり、自己肯定感につながります。

この経験もこれからの社会にとってとても大切なことだと考えています。

ビジネスの世界で言われるPDCAという言葉、多くの方がご存知だと思います。

Plan(計画)→Do(実行)→Check( 評価)→Action( 改善)

というスパイラルですが、計画をしている間に、世の中が変わってしまう、ビジネスチャンスが失われてしまう。というのが、昨今のビジネスです。

PDCAの代わりに、OODAということが言われ始めています。

Observe(観察)→Orient(状況判断)→Decide(決断)→Act(実行)

という考え方です。

この考え方は刻々と変わる状況を的確に判断し、速やかに実行していくというものです。

PDCAが大きな組織で意識決定して、大きな物事を動かすときの考え方だとすれば、OODAは現場レベルで小さな最善手を打ち続けていくというものではないかと理解しています。

つまり、現場レベルでも自己責任に基づき、最善なことを考え判断し、決定し行動する。

なぜこうなったのか、それは科学技術などの発展により大きな組織でなくても、大きなことができるようになってきたからだと思います。たとえば、核廃絶を訴えノーベル平和賞を受賞したNGO組織、ICANはわずか3名でした。

企業活動には様々なものがあります。たとえば、人事、総務、経理、広報、調達、製造、販売です。しかし、サービスや人工知能などの技術の進化によって、体力をかける必要がなくなってきています。たとえば、メガバンクが数万人規模でリストラ策を発表したのも記憶に新しいです。つまり、企業としては、コアな部分だけあれば、ビジネスが成り立つという時代です。

裏を返すと、これからの子どもたちはビジネスの世界で生きていくためには、コアな部分になれる能力を身につけなければならないということです。

コアな部分に求められる資質・能力は、独創性と実行力ではないかと思います。

ちいさなチャレンジは、自分が試してみようと思ったことを、実際に実行するという

独創性と実行力を養う訓練なのです。

自ら行動して結果を受け止める

人の意思や行動を変えるのは難しいが、自分を変えることは自分の意思でできる。

だからこそ、すべての行動の結果の責任が自分にあると受け止めて、良くても悪くても結果を受けとめ、改めるべきところは改める。

こうした行動習慣も、人が成長するのに重要なことではないかと思います。

逆に、結果の責任を、人の責任にしたら、その時点で、その人がその結果から学ぶことはなくなる。

子どもたちにとって、失敗の原因を自分に求めるのは、辛いことだということは良くあります。

「誰々が余計なことをしたから」

「本気じゃなかったから」

「どうせつまらないから」

こんな言葉が子どもたちから聞かれることもありますが、

これを本心から思っていたら成長は期待できません。

ネイチャリングルームでは、

悔しくて表面的に強がりを言うことがあったとしても、

心の中では

「自分の責任で、結果がある。」

ということを受け入れられるような強い子を育てる取り組みをしています。